システムエンジニアは専門的でやりがいのある仕事です。ただし、システムエンジニアは残業が多く、それが続くと辛くなることがあります。この記事では、私がシステムエンジニアとして働いていた経験をもとに、残業の実態を紹介します。
どれくらい残業が多いのか
私がシステムエンジニアとして働いていたときは、時期によって変動はしますが、毎月45時間から80時間くらいは平均して残業をしていました。昼食の時間は1時間の休憩となっていましたが、実際には10分くらいで食べて仕事に戻っていたので、それも含めればもっと残業時間は長くなります。
残業時間が長くなった原因は、私が担当していたシステム開発のプロジェクトが上手くいってなかったからです。担当するプロジェクトによっては、残業時間がもっと短くなることも多いと思います。
また、就職するIT企業によっても残業時間は変わるはずです。会社の方針として、スケジュールに余裕がなくてもシステム開発の案件をどんどん受注しようとすれば、当然ながら残業時間は増えます。
だからこそ、新卒や転職のセミナーで企業の担当者と面談するときは、開発部署の平均残業時間を必ず確認した方が良いです。実際にはプロジェクトによって変動はありますが、参考程度にはなるでしょう。
このように、プロジェクトや就職する企業によって残業時間は変わるため、全てのシステムエンジニアの残業時間が長いとは言えません。しかし、個人的には同期と話していても残業時間が短いという話はほとんど聞いたことがありません。
サービス残業はあるのか
残業をしたのに給料にならない「サービス残業」があるのかは、これもプロジェクトや企業によって変わります。きちんと残業代を払ってくれるところでは、残業時間が多いと給料も大きく増えて、残業をするモチベーションにつながります。
私の場合はサービス残業が毎月かなり多くありました。残業時間を定める「36協定(サブロク協定)」を結んで月に45時間までは残業ができるようになっていましたが、実態としては45時間を超える残業が何年も続いていたため、サービス残業をするしかありませんでした。
また、上司の中には「裁量労働制」によって残業代が支払われない人もいました。裁量労働制は月に何時間働くか「みなし時間」を設定して、それを超えて働いても残業代は発生しません。
いつ残業が多くなるのか
システムエンジニアは常に残業が多いわけではなく、特に以下のケースで残業が多くなります。
スケジュールが厳しいとき
クライアントとの契約でいつ頃システムを納品するか決まり、そこから各機能の開発スケジュールまで細分化していきます。
しかし、スケジュール通りに余裕を持って進むことは少なく、期限に間に合わせるために残業をすることになります。
最初から余裕を持ったスケジュールを計画すれば良いと思うかもしれませんが、そうならない理由には以下のことが考えられます。
- スケジュールが長ければ開発コストは上がる。クライアントから仕事を受注するためにスケジュールを短く見積もる。
- スケジュールを作る人の知識やスキルがなく、現実的な計画ではない。
- 開発メンバーのスキルが想定よりも低く、開発に時間がかかる。
- 想定よりも開発が難しいシステムだった。
私が担当していたプロジェクトはスケジュールに間に合わせるために人をどんどん投入して、最初は数十人だった開発メンバーが最終的には数百人まで増えました。
私の場合と違って、スケジュールが厳しいのに予算の関係などで新たに開発メンバーを増やせない場合、残業時間はさらに増える可能性があります。
障害が発生したとき
システムの開発が終わってリリースした後に不具合が見つかった場合、早急にプログラムの修正を行う必要があります。利用者の多いシステムや、決済システムのように障害が致命的なシステムの場合、「定時で帰って明日から修正します」といった悠長なことは言っていられません。
そのときは、残業や休日は関係なく、原因の究明、プログラムの修正、テスト、デプロイ(本番環境への反映)などを行います。私の場合は残業をしてそのまま徹夜することも何度かありました。
しかも、障害が発生したときはプログラムを修正するだけではありません。なぜこのような障害が発生したのか原因や今後同じミスを防ぐための再発防止策をレポートにまとめて、それをクライアントに報告する必要があります。
また、不具合が取り除かれたことの証明として、詳細なテストの結果をエビデンス付きで報告していました。このように、障害発生時にはプログラムの修正以外にも作業が増えることになります。
どのような企業を選ぶのがおすすめか
おそらく、システム開発において何も問題が発生せず、スケジュールに余裕があって残業時間が少ないケースは珍しいと思います。
どの企業も残業がそれなりに多いことは受け入れて、以下のような企業がおすすめです。
- 同僚と仕事の辛さの愚痴を言える。
- 長い時間働くことで自分のスキルが上達する。
- 仕事を頑張っていることを上司が評価してくれる。
- 有給休暇を取得できて、仕事のことは気にせずに思う存分リフレッシュできる。
- いざとなったら上司に相談して部署移動などをしてもらえる。
私が担当していたプロジェクトは、「残業が多くても愚痴を言わずに頑張れ」といった厳しいものではなく、仕事終わりに飲みに行ったときには上司・部下関係なく愚痴を言って笑いあえる関係でした。
長時間の残業が続いて体力的にも精神的にも辛いのに、誰にも愚痴を言えずに発散できない職場であれば、個人的には部署移動の希望を出すか転職をするのが良いと思います。
辛くなったら転職も一つの道
私もそうでしたが、長時間労働が続くと精神的に少しおかしくなります。常に仕事のことが頭から離れず、食事は喉を通りません。
私の場合は夜寝ることが辛かったです。体は疲れて眠いのですが、寝て起きると仕事に行かなければいけないと思うと、寝たくないという気持ちが生まれてくるのです。
政府によって働き方改革が進められていますが、システムエンジニアの業界において残業時間が減り、有給休暇を誰もが消化できてサービス残業がなくなる時代が、すぐに来るとは思えません。
月に80時間の残業が過労死ラインと言われていますが、過労死した人のニュースを聞くと毎月100時間以上働いているケースも多くあります。
現在は少子高齢化でシステムエンジニアの人材は足りないと言われていますし、長時間の残業が続いて辛いと思うのなら、転職をするのも一つの道です。一度退職してしばらく休み、再び意欲がわいて頑張ろうと思えたときに、またシステムエンジニアとして頑張れば良いと思います。
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