【経験談】ローカルメディアの取材のやり方

私は地方の情報をWebで発信するローカルメディアを立ち上げ、運用していた経験があります。観光地やイベント、飲食店などの情報を掲載していました。記事を書くにあたって何度も取材をしたので、私なりの取材のやり方、手順を紹介します。

目次

1. 取材対象の洗い出し

まず最初に、ローカルメディアで何の情報を発信したいのか整理します。以下のように、人それぞれ想いがあると思います。

  • 自分が住んでいる市町村の観光地をさらに有名にしたい
  • ここにしかない素晴らしいお祭りがあるから広めたい
  • 地元の方へ向けて地元の飲食店の情報をPRしたい
  • 市町村の魅力を伝えて移住者を増やしたい
  • 地域の文化を守り、後世に残したい

ローカルメディアで発信する情報が決まれば、誰に取材をするのか分かります。例えば、飲食店の情報を発信するのであれば当然ながら飲食店のスタッフに取材をしますし、移住の情報であれば既に移住をしている人にインタビューしたり、役場の職員に移住に対する補助の制度を聞いたりします。

取材をすることは簡単ではありません。自分の時間やお金だけではなく、取材した相手の時間も使うことになります。ここで何の情報を発信するのかきっちりと決めておかないと、後で方針が変わってせっかくの取材が無駄になる可能性があります。

観光地やイベントなどは必ずしも誰かに取材をしなくても、自分で実際に行って撮影を行い、感想や魅力を伝える方法もあります。もしも観光地の管理者やイベントの主催者などに取材ができれば、より詳しい情報を書くことができます。

ローカルメディアで何の情報を発信したいのか整理して、取材が必要なものに関しては誰に取材をすれば良いか洗い出しましょう。私の場合は、取材対象のお店をエクセルに一覧で出して、取材が済んだらチェックを入れて管理していました。

2. 事前の情報収集

何の事前知識もなしに取材に行くのはなるべく止めた方が良いです。なぜなら、知識が全くないとそれだけ取材で聞くことが多くなり、相手の時間を奪うことになるからです。また、事前に調べておいて「これは気になっていました!」などと伝えれば、相手に喜ばれるかもしれません。

ホームページやSNSをやっているか探して、どんなお店や人なのか、分かる範囲で調べるのがおすすめです。インターネットの情報だけではなく、知り合いに聞いたりしても良いでしょう。

私の場合は、お店に取材に行く前にはどんなジャンルのお店なのか調べると共に、営業時間や住所、連絡先などの基本的事項はメモをしておいて、取材のときには「これで正しいですか?」と確認するだけで済むようにしていました。

3. 取材シートの作成

手ぶらで取材に行くのではなく、どんなことを聞くか記載した取材シートをエクセルなどで作成するのがおすすめです。

取材シート

取材シートを作成することで、聞き漏らしを減らせるメリットがあります。

例えば、飲食店の情報をローカルメディアに掲載する場合、お店ごとに「和食」や「洋食」といったカテゴリーを登録して、サイトの訪問者がカテゴリーで検索できるようにするやり方があります。このとき、取材シートにカテゴリーをチェックする項目を用意しておけば、取材を終えて帰ってから「カテゴリーを聞き忘れた」といったミスを防げます。

また、緊張しやすい性格の場合、取材シートがないと焦って何を聞けば良いか分からなくなってしまうかもしれませんが、取材シートがあればその内容を上から順番に聞いていけば良いので安心です。

取材シートを作成するためには、ローカルメディアにどのような情報を掲載したいのか考える必要があります。私が飲食店を取材する際には、以下のような内容を取材シートに入れていました。

  • 店舗名
  • 住所
  • 営業時間
  • 定休日
  • お問い合わせ電話番号
  • 駐車場の有無、台数
  • 座席数
  • 創業年
  • カテゴリー
  • 他のお店とは違う特徴(外観や内観、扱っている商品、接客のこだわりなど)
  • 人気のメニュー(値段、こだわり、食材、調理法、食べた人の感想など)
  • よく来る客層
  • どんなお客様に来てほしいか

事前の情報収集の手順で調べた店舗名や住所などの基本的事項は、取材シートに記入して取材のときに持参しましょう。

取材シートがしっかりと完成していれば、取材が終わった後はそれをサイトに転記するだけで、簡単にページを作ることができます。

4. アポイントメント

アポイントメント

いつどこで取材をするか事前にアポイントメントを取ります。電話、メール、ホームページのお問い合わせフォーム、SNSのメッセージなど、相手に失礼にならなければ何でも良いと思います。

イベントであれば、ステージショーのように出演者の顔が写ってしまうケースもあったので、そのような場合にはイベントの主催者などから撮影許可をもらうことが多かったです。

私の場合は、電話や知り合いを経由してなど、様々なやり方でアポイントメントを取っていました。田舎ということでお店との距離が近く、都会と違って平日から大繁盛しているようなお店は少なかったので、直接お店に行って説明して、すぐに取材ができそうであればそのまま行い、無理であればアポイントメントを取って後日に再び訪問するやり方もしていました。

アポイントメントを取るときは、取材にかかる時間の目安や用意してもらうものがあれば伝えましょう。また、ローカルメディアに掲載したいことを伝え、無料なのか有料なのか金銭面の話もきちんとした方が良いです。お店によっては有料ならば掲載しないと言われることもあるでしょう。

5. 取材

取材

いよいよ取材の当日になったら、お店に向かいます。私の場合の持ち物は、取材シート、ペン、カメラ、カメラの予備バッテリーなどでした。軽いノートパソコンやタブレットなどがあれば、取材先で回答を打ち込んでも良いでしょう。

取材をする前に、どのような手順で取材をするのか考えておきましょう。私がお店に取材をするときは、以下のような手順で取材をしており、所要時間は約1時間から1時間30分でした。

STEP
あいさつ

自己紹介、名刺があれば渡します。

STEP
ローカルメディアの説明

取材した内容がどのようなサイトに掲載されるのか説明します。

STEP
金額の説明

ローカルメディアへの掲載が無料なのか有料なのか、有料ならいくらなのか説明します。

STEP
インタビュー

取材シートをもとに質問していきます。それが終わったら、取材シートにないことで何か言いたいこと、PRしたいことがないかも聞くと良いでしょう。

STEP
撮影

おすすめの料理や人気の商品を聞いたら、それを撮影します。他にも、お店の外観、内観、調理風景、スタッフなど、何を撮影するかある程度は事前に考えておくと良いです。

STEP
食事

飲食店の取材では、実際におすすめの料理を自腹で購入して食べていました。そうすることで料理の撮影ができますし、味や感想を書くこともできます。また、取材に協力していただいているマナーとして、何も食べずに帰るのは良くないという想いもありました。料理を作ってもらっている間に、お店の外観や内観などを撮影していました。

STEP
商品の購入

飲食店ではなく、商品を販売している小売店の取材では、おすすめの商品を自腹で購入していました。食事と同様に、実際に買うことで商品の魅力を書くことができます。

STEP
お礼

最後は取材に協力していただいたお店に感謝を伝えます。

インタビューをするときのコツは、すぐに答えられるようなお店の基本的な情報からまずは聞いて、相手が答えやすい雰囲気を作ることです。田舎であれば取材を受けたことがあるお店は少なく、いきなり「こだわりは何ですか?」といった難しい質問をするとその後の会話が上手く盛り上がらない可能性があります。簡単な質問から徐々に難しい質問に移行するのが良いでしょう。

たくさんのお店を取材して感じたことは、田舎のお店はPRが苦手なところが多い印象です。都会であれば違うのかもしれませんが、何かアピールしたいことはあるか聞くと、「うちは特にPRすることはないんだよ」「こだわりはないです」というようなお店がほとんどでした。

そのため、自分の方から「これは素敵ですね」「美味しいですね」「凄いですね」と積極的に良いところを見つけて伝え、それをきっかけに魅力を引き出していくパターンが多かったです。

取材をするときは、交通費や食事の費用など、何かとお金がかかります。その一方で、取材をしたお店から帰り際にタダで色々ともらえることもあり、そこが嬉しいポイントでもあります。

6. ページの作成

ページの作成

取材した内容をもとに、ページの作成を行います。

7. ページの確認

作成したページに間違いがないか確認してもらいます。確認が済むまでは、ページを公開しない方が良いです。

確認の方法は色々考えられますが、例えばページをPDFなどに印刷したり、画面をキャプチャしたり、WordPressであれば「Public Post Preview」というプラグインを使えば、公開前の記事を簡単に共有できます。

8. 公開

ページに問題がないことを確認できたら、公開します。SNSでも写真つきで取材先の良いところを投稿すれば、喜ばれると思います。公開後もなるべくお店に足を運び、可能であればページをリライトしていきます。また、営業時間や定休日などお店の情報が変わったときに、メールやSNSなどで教えてもらえるようなつながりを持っておくのが理想です。

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